【死ぬ前に柿を食べてはいけない理由~石田三成の話】秋葉原心療内科・ゆうメンタルクリニック秘密コラム

秋葉原心療内科・ゆうメンタルクリニック秘密コラム

死ぬ前に柿を食べてはいけない理由~石田三成の話

 

さて今夜は、

「死ぬ前に柿を食べてはいけない理由」

について話しましょう。
◆ 死ぬ前の、柿。

あなたは「石田三成」という人物をご存じでしょうか。

かの豊臣秀吉の家来で、「関ヶ原の合戦」で、徳川家康と戦った武将です。

この関ヶ原の合戦で、結局、家康に負けてしまい、そして最終的には捕まり、
処刑されることになってしまいます。

この処刑される直前のことです。

三成は「ノドが渇いた。水が飲みたい」と言いました。

すると周囲の人は、言ったのです。

「残念ながら、今は水がない。
しかしかわりに、柿がある。
かわりにこれを食べてはどうか?」
あなたなら、どうしますか?

おそらく大半の方が「そっちがいい! 食べる!」と言うはずです。

しかし、石田三成は、こう答えたのです。
「柿は、体を冷やし、お腹を壊すことがあるから、いらない」
もちろん、そんなことはないと思いますが、当時はそう考えられていました。
とはいえ、当時であっても「そんなこともありえる」くらいで、大半の人が気
にせず食べていたでしょう。

ただ少なくとも三成は「体に悪い可能性がある」と考え、そして断ったわけで
す。
これを聞いて、柿を渡そうとした男は、笑いながら言いました。

「お前は今から首を切られるのだぞ?
それなのに、その後の体調のことなんか心配してどうするんだ?」
すると三成はこう言ったのです。

「立派な人間たるもの、たとえ眼前に死刑を控えていたとしても、その最期の
瞬間まで体を大切にし、一生懸命生きるべきなのだ」

いかがでしょうか。

◆ 最期の最期まで。

これ「石田三成の往生際の悪さ」として語られるエピソードでもあるのですが、
個人的に本当に素晴らしいと思います。

たとえばこんな考え方ができます。

それこそ死刑の直前で、誰かが助けてくれるかもしれない。
家康が急病で死ぬかもしれない。
大地震などが起こって、処刑どころでなくなるかもしれない。

そのときに、もし柿を食べて体調を悪くしていたら、うまく逃げることができ
ないかもしれない…。

もちろんそんな確率は、少なすぎるかもしれません。

しかし、たとえそれが「起こらなかった」としても。

それでも最期の瞬間まで、「その最期がない」かのように振る舞い、最大限生
きていく…。
これは本当に大切なことだと思います。
◆ 態度にも、価値はある。

精神医学者フランクルは
「人間は、たとえ何もできない状態であったとしても、自分のその瞬間の命に
『意味がある』と考えることが大切」
と言いました。(参照

これをフランクルは『態度価値』と呼んでいます。

たとえば、大ケガをして動けなくなっても、牢屋に入れられて、あらゆる行動
を制限されても、

「治ったら○○してやる」
「ここを出たら△△してやる」

と考えたりできるはずです。

または「その状態でも立派に前向きに生きる」ことを、医療者や牢屋の看守に
見せて、彼らに感銘を与えたりすることだってできます。

これらは一例ですが、結局

「どんな瞬間、どんな状況であろうとも、自分の命には価値があると考える」

ことが何よりも大切だというわけです。
◆ 人生、結局いつかは終わり。

また先ほどの話は「その日のうちに処刑される」という状況でしたが。

もし「今日死ぬのだからしょうがない」と考えるなら、その線引きはどこにあ
るのでしょうか。

「三日後に死ぬ」のだから、適当に生きてもいいのでしょうか。

一週間後なら? 一年後なら? 10年後なら?

結局人間、言うまでもなく「いつかは死ぬ」のです。

「ここから短い、ここから長い」なんて決めてもしょうがありません。

どの瞬間であっても。
たとえ死ぬまで数秒であっても、数十年であっても…。

等しくこの瞬間に、全力を尽くさなければいけないのです。
◆ 100歳まで生きるんです。

自分はあえて言います。

すべての人は「100歳まで生きる」と想像して、その上で毎日を生きていくべ
きです。

今のあなたが、20歳でも30歳でも40歳でも50歳でも60歳でも70歳でも、

「もう人生、そんなに長くないし、何か始めてもしょうがない」

なんて考えていたら間違いです。

100歳まで生きると考えて、その上で、何かをしてみてください。

新たなスキルをマスターしたり、新ビジネスを開始したら、その恩恵を40年50年と受けていくことができます。

自分自身、ここ一~二年で新たにギターを始めてみましたが、これも「ギターが弾けたら、残りの人生ずっと楽しいのでは?」という気持ちがありました。

人生、どの瞬間でも「もう遅い」なんてことはないのです。

もちろんですが、あなたが100歳になったとしたら、今度は「200歳まで生きる」
と考えて、何かを始めてみてください。
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● 今回のまとめ
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○ 死ぬ間際でも、柿を食べるな。

○ 死ぬまであと数秒であったとしても、人は全力で生きるべき。

○ 100歳まで生きるという前提で、何かを始めてみよう。

いかがでしたでしょうか。

自分が好きな言葉に、こんなのがあります。

「人生は、何かをするにはあまりに短く、何もしないには、あまりに長い」
この「短い」というのは、「それだけ濃密で、あっという間に感じる」ということではないでしょうか。
結局。

「何かをする」と考えた瞬間、残りの寿命なんて、なんの関係もなくなるんですよ。

(完)

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

 

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