「糖質制限による死亡リスク上昇」という話は、間違ってるというお話。

国立国際医療センターで、2013年に糖質制限による死亡リスク上昇という「メタアナリシス」による発表がありました。

2013年のニュースが、なぜか最近また話題になっていて不思議なのですが、それで心配な方もいるかもと思いまして書きます。

結論から言うと、心配ありません。

そもそも「メタアナリシス」というのは、どういう意味かご存じでしょうか。
語感的にセクシーな意味で取ってしまう方も多い気がしますが、半分日本語にすると「メタ分析」となります。

一言で言うと「たくさんの論文を検証して、結論をまとめたよ」というものです。

これ、「一本の論文」での内容よりも、信憑性は高いとされています。

まぁ、一人の人が「宇宙人はいるよ!」と言うよりも、たくさんの人の意見を総合した結果「宇宙人はいるよ!」と言った方が、信憑性が高くなりますね。
それとまったく一緒です。

この「『メタ分析』こそが一番信憑性が高い」というのは、研究をしている方には「鉄則」です。

ただ、です。

メタ分析は一番信憑性が高いわけですが、「すべてのメタ分析が、メタ分析だからといって真実である」とは言えません。

メタ分析のために選んだ論文が、間違っていたらしょうがないのです。

そして今回のメタ分析には9本の論文がありますが、そのうち一本は、「マンガで分かる糖質制限」でも紹介した、「信憑性がアヤしい論文」です。


このアヤしい論文が9つの中に含まれているわけです。

さらに他の論文も、健康の変化を短期的にしか追っていないものだったりします。

結局、そのうち長期的に追っているものは2本しかなく、そのうち一つの論文は、↑のマンガのラストのコマに出てくる「糖質制限しても心疾患のリスクは上がらないよ」という論文です。
また、残るもう一つの論文でも、やはり「低糖質の方が心血管リスクは低い」という結果になっています。

すなわち「アヤしい論文」のインパクトが強かったため、メタ分析の結果がそれに引きずられているわけですが、
そのアヤしい論文を排除し、長期的に結果を追っているものを中心に分析すれば、「糖質制限大丈夫」という結論になるわけです。

もちろん「だから糖質制限は絶対確実120%安全だよ!」と断言するものではありません。

しかし「メタ分析で危険と出たから危険だよ」は間違いで「このメタ分析は信憑性が低い」ということはご理解いただければ幸いです。

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。